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スペインの地中海沿岸都市、アリカンテのすぐそばにエルチェという靴産地があります。ここで育まれたシューズブランドの「ピコリノス」はエシカルを意識したコレクションを発表しています。それがアフリカ大陸のケニアやタンザニアに住む原住民「マサイ族」のビーズ刺繍を施した「マサイコレクション」です。マサイの女性たちの経済的な自立支援を結びつける部族のリーダー、ウィリアムこと、キカナエ・オレ・ペレさんに話を聞きました。

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コラボレーションについての考え方を教えてください

今までのマサイの生活は、服も無く、西洋医学の薬も無い暮らしが当たり前でした。しかし教育によってマサイの文化は尊重しつつも西洋の文化を採り入れることで、自立と共存を促していきたいと考えています。

一方で歪な状況も生まれています。インターネットは競合も激しいため、インフラ整備が進んできていますが、電気の供給先は限られています。また水は川に取りに行き、病気を発症するケースも大変多く見られました。そしてやっと昨年、NGO事業の一環で井戸ができたばかりなのです。携帯電話を持つ人も少なくありませんが、街に週1回ほど充電しに行くといった環境です。

このような環境下で、マサイの文化を守りつつ、近代化を進める手立てをと考えたのです。

ピコリノスマサイ1

これまでの経緯について

スペインのADCAM(アドカム)というNGOがピコリノスを結び付けてくれました。アドカムは、以前からマサイに学校を作り、女性の自立支援や職業訓練を行うなどして、サポートを続けてきました。そのことにより、以前は週に1度、外から物を売りに来ていた状況が一変し、今は7割のビジネスがマサイ自身の手によって運営されるまでになりました。そしてまた、ピコリノスとのビジネスによって靴だけではなく、バッグも含めマサイのビーズ刺繍が使われるコレクションが生まれています。

刺繍に使われるビーズ

刺繍に使われるビーズ

日本の人たちに訴えたいことは?

女性の自立支援、健康と医療、そして何と言っても教育。特に高等教育の学校を作る資金が不足しています。遠くから150人ほどが通っていますが、寮には24人しか入れません。一番重要な教育の部分に是非支援をお願いしたいと思います。

アドカムでは、マサイマラ(マサイ族の住む地域)で「アドカムキャンプ」という体験を実施し、収益をこの支援に充てています。これにも参加してもらえたら嬉しいです。

http://adcam.es/en/

http://maasai.pikolinos.com

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