ビームスプラネッツ佐藤

「bprビームス」のバイヤー、商品企画、VMDを経て、「レイ ビームス」のディレクター、チーフバイヤー、MDとして長年に渡って、レディスの現場を走ってきた佐藤幸子さん。ビームスの新業態「ビームス プラネッツ」に携わることになり、大きく見方が変わったそうです。それは「自身がバイイングしていた立場から、他人がバイイングしたものの中からチョイスするという立場」へと仕事が変わった事。今年4月にオープンしたばかりの横浜店(相鉄ジョイナス)の特徴とともに話を聞きました。

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横浜店は「カリフォルニアの大学生協」というコンセプトだそうですが

私自身が横浜の高校、大学に通い、「ソニプラ」や「エスプリ」「レスポートサック」にはまり、「ラルフローレン」のメンズソックスに「コールハーン」のローファー、小脇にブックエンドといったスタイルでした。そんな若かりし頃が蘇ってきて、コンセプトにしました。

例えばアラフォー世代のお母さんと中高生の娘さんとが一緒に来てくれたらいいなと思っています。

壁面に黒板を使ったのも大学をイメージして、内装をクリエイティブユニットの「ゲルチョップ」にやってもらいました。椅子が什器の中にはまり込んでいて面白いでしょ。

商品は全レーベルの全ラインナップを見て、選んでいきます。

例えば、「デニムならリーバイス501」みたいな「THE(ザ)」なものを揃えたコーナーもあります。国旗と同じ縦横比のアルミのお弁当箱は、本当の日の丸弁当が作れます。伊賀大介さん監修のTシャツはオンとオフのシリーズがあって、着丈は短く、袖は長く、身幅は大きくとられ、ゆったりとしています。「フェニカ」と「B印 ヨシダ」のポータートートバッグや、ワイスホテルにも置かれている東海岸のコスメブランド「ゴールディーズ」の石鹸、シャンプー、ボディソープも揃えました。

ビンテージのTシャツや缶バッジ、1960年代のボストンクリップなんかも、既にだいぶ売れちゃいました。

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なぜプラネッツは生まれたのですか?

これまでもビームスは、ライフスタイルを提案するショップとして、モノの周りにある文化やシーンを商品とともに紹介してきたのですが、ここ数年は「モノからコト、コトからヒト」へと考え方をシフトしてきました。いろんなライフスタイルを広く紹介する方法に比べて、ひとりのヒトのパーソナリティーを中心にコミュニティーを作っていくというような方法です。そんなコミュニティーが多種多様な惑星のようにビームスを取り巻く、というイメージで「プラネッツ」と名付けられています。ショップの機能としては、通常のショップよりもずっと小さい面積に、世界中の旬をぎゅっと凝縮して、通り行くお客様にお見せできるような「ニュースタンダードキオスク」を目指しています。昨年8~11月の新宿駅ナカ期間限定店が最初の店舗でしたがB 印 ヨシダの種市暁ディレクターが編集長に。

そして横浜は私がディレクターを務め、7月6日にオープンする関西空港店は、また種市がディレクションします。

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佐藤さんが手掛けることになったきっかけは?

24歳の時にbprビームス、その後レイ ビームスと移りましたが、ずっとバイイングや商品に関わること全てをやってきました。レイ ビームスの最後の頃には、ディレクターであり、チーフバイヤーであり、MDでもあるという立場で突っ走ってきたのですが、出張から帰ってきた途端、3ヶ月ほどぶっ倒れてしまったのです(笑)。

そんな状況でしたから、ちょっと引いてみて会社を俯瞰で見られるようになっていました。ある種フリーみたいな状態に戻ったら、プラネッツの在り方が湧いてきたのです。

他人のバイイングしたものをチョイスする訳ですから、キャリアは邪魔しかしませんよね。だから一度リセットするような感じで。

ウェブも作ってインスタグラムもやってなんて、今までは人がやってくれていたことですが、一からやらなければならない。大きなセクションだったらルーチンワークが決まっていて、ある種がんじがらめのスケジュールだけど、出張もあって刺激もある。今は、刺激は少ないけれど、小売りの原点を経験しています。

ただスタッフユニフォームを作らせていただいた「レミ レリーフ」との関係は、今までの仕事があってできた事なので、そういう意味ではキャリアも生きてるのかな。

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バイヤーとしての自身を振り返って思う事は?

ビームスのバイイングの仕方も時代とともに変わってきています。マゴ(南馬越一義)さんの頃はバイヤーの時代、私の頃はオリジナルと仕入れのミックスコーデでVMDの時代、今はMDの時代で仕掛けるバイイングの時代です。どこそこの別注とかコラボとか。

佐藤幸子さんの近未来は?

セレクトだけでなく物を作っていきたいです。ビームスには穴があると思うのです。大人のカジュアルなレーベルが無い。レディスのレイと「インターナショナルギャラリービームス」の間が抜け落ちている。30~50代に提案できる服とビンテージ物にも反応するこじゃれた大人向けのライフスタイルも含めて。

そういう自分のリアルに思うものを仕掛けていきたいです。

http://www.beams.co.jp/shops/detail/beams-planets-yokohama

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