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私が代表を務めている一般社団法人東京ファッションデザイナー協議会(CFD TOKYO)では、今年9月、香港で開催されるブランドの展示会「香港センターステージ」に20ブランドを率いてパビリオン出展する。また繊研新聞社とクレディッツが主催する「プラグイン|エディトリアル」からの招待ブランドとして出展する正会員のコスチュームジュエリーブランド「ロマンス・イン・ジップ」を合わせると21ブランドになる。昨年の8ブランドと比べると2.5倍以上の参加となる。

私自身は、繊研新聞社在職中の1997年頃から、欧州の政府・団体を担当し、2000年に始まった「インターナショナル・ファッション・フェア(IFF)」の海外パビリオン誘致の仕事を兼務しながら、ユナイテッドアローズやビームスなど大手セレクトショップで消費者向けに配布するフリーペーパー『senken h(アッシュ)』の担当者として、デザイナーブランドとの付き合いも、そこそこあるポジションで仕事をしてきた。

アッシュ表紙

94年1月の欧州出張を皮切りに、できたばかりの「フーズネクスト・パリ」や「プレタポルテ・パリ(PAPP)」、ロンドンの「フォーティーディグリーズ」、コペンハーゲンの「CPHビジョン」「CIFF」、ミラノの「ホワイト」、ベルリンの「ブレッド・アンド・バター・ベルリン」「プレミアム」といったトレードショーを見て回り、そこに出展する数多の日本ブランドを取材してきた。

2008年からはパリ支局立ち上げのために、パリに渡り、繊研新聞の英語版『THE SENKEN』の事業展開をスタートするなどして、パリのトレードショー取材は、その後、繊研新聞退社後も年4回取材のライフワークの一つとなっていった。

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そんな30年間、見つめてきた日本ブランドの海外販路開拓の歴史とトレードビジネス(特に卸型ビジネス)の変遷を考察すると、大きな転機は、3回あったと言える。それは、2008年のリーマンショック、2010年代のDXショック、2020年のコロナショックだ。リーマンショックは、言わずもがな、経済環境の悪化による卸型ビジネスのシュリンクの始まりとなり、DXは、ECとSNSの台頭による直販ビジネスの萌芽と浸透、そしてコロナ禍に経験した消費スタイルの変化とマインドセットによるファッション消費に対する指向性の二極化と円安株高誘導型経済に起因する格差拡大による可処分所得の低下傾向がズシリと重みを持って業界構造を下押ししてきているのだ。

こうした前提のもと、今までの自身の経験から、パリ進出とその手前の国内ビジネスの充実化のシンプルな構造視点では、説明し切れないデザイナービジネスの実態がリアルに浮かび上がってきた。

パリでショーやプレゼンテーションを実施できるブランド(Sクラス)は、一握りであり、年間8000万円の投資が2~3年続けられる体力が必要だ。次にパリに出展できるブランド(Aクラス)は、年間600万円の投資が少なくとも2年続けられる余力があること。その手前のブランドを次の二つに大別すると、国内アカウントが20件程度あり、年商3000~5000万円程度の規模感(Bクラス)、国内アカウントが5件程度で年商2000万未満(Cクラス)、その下は、ビギナークラス(D)と言える。

さて、SとAは、シンプルに海外進出をパリに向けて照準を合わせて、物作り・サンプルアップと進めればよい。次のBクラスにも、パリ出展を勧めていたのが今までの解答だったのだが、この円安基調と先進国の卸型ビジネスが縮小する中で、次の一手は、東アジアだというのが私の正答だ。つまりBクラスの人たちには、まず海外販路開拓のテストケースとして、体格差の少ない、すなわちサイズ展開を広げずに済む東アジア地区の中国、韓国、台湾、香港、さらに東南アジアのシンガポール、タイ、インドネシアなどを狙って、勉強しながら海外ビジネスを習得しつつ、販路拡大も進めるというのを勧めたいと考える。つまりは上海、香港、台湾、韓国が出展先として候補に挙がってくる。しかしながら香港以外の3地域は、それぞれのローカルバイヤー主体という特徴がある。

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CFDとしては、香港貿易発展局(HKTDC)との連携もあったことから、香港をテスト先として選んだ訳だが、もともと英国領で英語が通じる点、並びにインターナショナルなビジネス慣習が根付いていることで、欧州からも親和性が高い点や、オセアニア(英国との親和性)、東南アジアからも距離が近く、万遍なく集客があることが利点と捉えることができた。さらにHKTDCが持つ多くの海外拠点から各国のセレクトショップ、百貨店、ECなどリテーラーを200社以上招待して、ビジネスマッチングを大々的に行っていることから、確実にアポイントが入るという確信もあり、実際に8ブランドに対して、120件の事前アポイントが入るという結果となった。

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画像にあるように、実際にはパビリオンに200社以上の来場があり、パリと韓国のセレクトショップ、ECから受注を獲得し、パリのショールームとの契約に至り、26年3月のパリ・ファッションウイーク(PFW)で出展を果たすブランドも現れた。

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かつて何度もパリの「マン」内の「ジャンブル・パリ」に出展したことのあるメンズブランドは、「これほどまでにバイヤーと会話できた展示会は今まで無かった」と驚きを隠さなかった。そんな成果をシェアする報告会を開き、20ブランドもの大量出展に繋がった。

もちろん全てのブランドが成果を得られるなどという甘い事は決して言えない。だが、HKTDCの協力とCFDからの援助で、60%オフ程度の出展料で参加できるメリットを生かして、海外販路開拓の緒に就くブランドが少しでも出てくることを願うばかりだ。

香港センターステージ

 香港センターステージ