映画とファッション、この親和性が高いテーマで書くとなると、『イヴサンローラン』(2014年9月)やAdvanced Style そのファッションが人生』(2015年5月公開予定)などをフィーチャーしたくなるが、今回はちょっと脇道に逸れてみる。

昨年から今年にかけて、美術館をテーマにした映画がいくつか公開された。

オランダ・アムステルダム国立美術館の改装をめぐる10年間にわたる苦闘をドキュメンタリー映画として仕上げた『みんなのアムステルダム国立美術館へ』(2014年12月)、ロンドンのトラファルガー広場に面するナショナル・ギャラリーの裏方も含めリアルな今を活写したドキュメンタリー映画『ナショナル・ギャラリー 英国の至宝』(2015年1月) 

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(c)2014 Gallery Film LLC and Ideale Audience.All Rights Reserved. 

そして圧巻の4K・3D映像でリアルなフレスコ画を体験できる『ヴァチカン美術館・4K3D・天国への入口』(2015年2月)。
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(c)direzione del musei-governatorato s.c.v 
ヴァチカンでは、ミケランジェロによるシスティーナ礼拝堂の「天井画」や「最後の審判」が圧倒的な臨場感で迫ってくる。実際に見た時に感じるトリックアートやトロンプルイユのような立体感が3Dメガネを通じてその場に蘇ったようだ。これは本当に新しい体験だった。

またナショナル・ギャラリーでは、「絵とあなたとの関係性を見つけてほしい」「あなたの興味があることは全てアート中にある」など学芸員たちが語る一言一言に、ハッとさせられることも。そして館内の会議で、ブランディングとマーケティングの意見対立と妥協点を探る様などは、どこぞのアパレルメーカーの会議に重なり面白い。

さて、このナショナル・ギャラリーで特に所蔵数の多いターナーのどこか物憂気だが、心落ち着かせる風景画の数々は、またじっくりと現地で見てみたいと思っていたのだが、そのターナーの半生を綴った映画『ターナー、光に愛を求めて』が2015年6月に公開される。この映画を見てから、ナショナル・ギャラリーに行けば、さらに絵を観る視点を昇華させている自分に気付くに違いない。

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(c)Channel Four Television Corporation, The British Film Institute, Diaphana, France3 Cinema, Untitled 13 Commissioning Ltd 2014.