©COPYRIGHT 2011 BiancaFilm

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ローマの公立高校を舞台に教師と生徒の交流を描いた本作は、イタリアのリアルな高校生活を垣間見るような作品に仕上がっています。「教師の仕事は学校内だけ」という冷静な女性校長のジュリアーナ、「生徒にやる気を起こさせる」と情熱を傾ける国語の補助教員ジョヴァンニ、そして「生徒はみんな頭がからっぽ」と嘆く情熱を失った皮肉屋の年老いた美術史教師フィオリート。この三人の教師を軸に、それぞれが関わる問題児や突然現れるかつての教え子との絡みで物語が展開していきます。

作中でイタリアやアメリカの名詩が読まれるシーンが何度もあり、またフィオリートの美術史に関する講義の趣には、含蓄のあるヨーロッパ映画特有の傾向が見受けられ、歴史の深みへと誘います。

信念や信条は、どの教師もそれぞれに違うものを持っていますが、それが生徒たちとの交流の中で、崩れて行ったり変化したり。そう、教師も同じく悩み苦しみ、大人でも老いても、生徒と同じ一人の人間として、ひたすらに成長するものだという事を伝えてくれます。誤解の後に理解があって、不信の後に信頼が生まれる。そんな後味の爽やかな映画です。原作はマルコ・ロドリの『赤と青』、監督はジュゼッペ・ピッチョーニ。8月23日より岩波ホールほか全国順次公開予定。

http://www.roma-kyoshitsu.com

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