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2014年の第67回カンヌ国際映画祭グランプリ作品。と言えば、どれだけの注目作なのか大よその見当は付きますが、残念ながら日本での上映は限られたものになるかもしれません。それほど日本においてはエンターテインメント性が重視され、良質な作品であっても地味なものだと判断されるとなかなか全国への大々的な展開が難しくなります。
しかし映画を愛する人々の良心に支えられて、日本でも本作を観ることができることに有難みを感じます。
トスカーナ地方の田舎町で養蜂業を営む一家。やんちゃな娘に気難しい父親、そこに現れたドイツの更生施設から送られてきた少年が交わって、新たな人間関係が生まれていきます。
またこの地方に古くから残るエトルリア文化を継承する家族を登場させ、コンテストを行うテレビ番組の取材が、新たな波乱を巻き起こしていきます。
隣の畑に撒かれた除草剤によって蜂に被害が出て、自然な生き方と現代的な生き方の葛藤と確執が起ち現れます。
毎日の繰り返しと日々刻々と変化する自然の中で、素朴な田舎の暮らしぶりがあり、それを「静」とするならば、ドイツの少年の更生プログラムの受け入れやテレビ番組の収録、除草剤を巡って巻き起こる諍いは「動」の部分。
諸行無常の理をイタリアの田舎の暮らしに垣間見た気がします。
監督は32歳の女性、アリーチェ・ロルヴァケルで本作が長編2作目の快挙。そしてテレビ番組の司会者役にモニカ・ベルッチが登場しています。
8月22日より岩波ホールにてロードショー予定。