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東京・渋谷区東にカフェスペースもある少しだけ無骨な雰囲気のセレクトショップがあります。かつて原宿にあったシップスの「ル・グローブ」を率いた前淵俊介さんが独立後、2012年にスタートさせた「rdv o globe(ランデヴー・オ・グローブ)」です。今やオリジナルブランドはパリの有名ショップ「MERCI(メルシー)」でも販売され、国内の有力セレクトショップにも卸しています。代表取締役の前淵俊介さんに話を聞きました。

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ファッションに興味を持ったのは?

中学生の頃、テニスをしていたので、最初はスポーツウェアやスニーカーに興味を持ち始め、その後洋服にも興味を持つようになりました。「フィラ」「アディダス」「ディアドラ」などのブランドや海外のテニスプレーヤーの影響を受けました。家が井の頭線の永福町だったこともあり、渋谷にはよく遊びに行っていました。

輸入物に興味があったこともあって「ミウラ&サンズ(ミウラ)」(シップスの前身)、「ビームス」「バックドロップ」「ベイリーストックマン」などによく通いましたね。高校生の頃には店の人とも仲良くなって、大学に入るとミウラでアルバイトを始めました。大学時代を皮切りに20代には10回くらい大好きな米国をグレイハウンド(長距離バス)で旅して回りました。NY、テキサス、ニューメキシコ、アリゾナ、西海岸などあちこちに行きました。卒業した1987年にそのままミウラに入社し、渋谷店のメンズ販売員となりました。

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仕事で海外と接することになったきっかけは?

91年に当時の副社長からパリの「マルセル・ラサンス」と契約したので、担当しないかと言われ、1ヶ月ほどパリのラサンスの店で研修して、オンリーショップとなる代官山店をオープンし、MDとバイイングを担いました。その後銀座、大阪、名古屋にも出店して拡大していきました。私自身は米国好きでしたが、新しい事に挑戦するのも面白く、またラサンスも米国やアメリカン・トラディショナル好きだったので通ずる点も多かったようです。

最終的にオンリーショップを閉めた2003年までの間、年4回サンジェルマンのショールームにバイイングに通い、その後はシップスのバイイングに引き継いでラサンスを継続していきました。また01年からはシップス・レディスのバイイングも任されて、この時期には年間150日くらい海外に居るような状況でしたね。

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そして今の土台となるル・グローブのオープンですね

05年に東京・原宿にメンズで全てインポートの新業態、ル・グローブをオープンしました。この頃には年間200日は海外。サンタフェにインディアンジュエリーを買いに行ったり、コペンハーゲンやベルリン、ヘルシンキといったメインストリームではない都市へも買い付けに行きました。09年にル・グローブを閉め、メンズのバイヤーを1年くらいやっていたのですが、やはり「面白い服をやりたくて」シップスを退社しました。

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自らの城を立ち上げたわけですね

シップス退社時に感じていたことは、やはり多店舗化することで作り手の想いが販売スタッフや顧客に伝わらなくなってくるということでした。1店舗ならそれが伝えられるということ。そんな想いで12年2月にrdvをオープンしました。カフェを併設して、顧客と一杯飲みながら会話して、ゆっくりしてもらって楽しんでくれている。滞在時間も長いですし、私も食べたり飲んだりが好きですから。

自分が着たい服、自分の中での定番は、どこかダサさが無いとダメなのです。何か欠けているものがあるのが好みで。シャツでもワインの染みが付いている位のダサさと生活感のあるものが好きです。あとは手作り感のあるものも小物を中心に仕入れています。ビンテージや蚤の市の雑貨などもたくさんありますよ。

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そしてオリジナルブランドも立ち上げた

ある程度、量を作らないとならないという問題もあったのですが、一つのブランドで固めるというよりもミックスコーディネートが好きで、それを上手く埋められるアイテムが必要だったのです。そんな抑えた感じの商品なので、モダンな店でも、クラシックな店でも合わせられる。それで卸もやってみようという事に。まあ店の認知度も高められるかなとも思って(笑)。国内ではビームス、伊勢丹など7社に卸していて、丁度良いくらいかなと思っています。ですからその次は海外という事で、12-13年秋冬からメルシーに卸し、13-14年秋冬からパリ市内で展示会を開いて米国、ニュージーランド、韓国に販売先が広がりましたし、卸先の米国・アメリカンラグシーが上海に出店するので、中国にも卸を開始することになりました。

 

ニットチノのダブルジャケットは襟を立ててボタンで留められるカジュアル仕様、合わせたシャツのドットが楽しいコーディネート。

ニットチノのダブルジャケットは襟を立ててボタンで留められるカジュアル仕様、合わせたシャツのドットが楽しいコーディネート。

アーミーのスタイルを意識したフォルムポリエステルのコートは、最終フィニッシュで熱を加えフラットに仕上げる加工工程を省いてボリューム感を強調。 同素材のジャケット、パンツもあり。

アーミーのスタイルを意識したフォルムのポリエステルのコートは、最終フィニッシュで熱を加えフラットに仕上げる加工を省いてボリューム感を強調。
同素材のジャケット、パンツもあり。

8号の厚手のキャンバスにパラフィン加工をかけ、バイオストーンウオッシュをかけた手の込んだ素材のシャツ。1920年代イギリス鉄道員のワークジャケットからインスパイアさています。

8号の厚手のキャンバスにパラフィン加工をかけ、バイオストーンウオッシュをかけた手の込んだ素材のシャツ。1920年代イギリス鉄道員のワークジャケットからインスパイアさています。

これからの展開は?

海外の仕入れ先に応援してもらい、支えられてやってきましたから、彼らや想いを同じくする人たちと長く付き合っていきたいですね。

http://www.rdvoglobe.com

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ちょっとのダサさと生活感。独自の世界観でファンを増やし始めているrdv o globe。店の個性は店主の個性でもあります。オリジナルと仕入れの構成は、半々。店では顧客と濃密な関係を作り、自身の世界観を表現するオリジナルブランドは世界へと羽ばたく。熟成された50代オーナーの挑戦に注目したいところです。オリジナルブランドの15-16年秋冬展を2月9~27日、同店で開く予定です。