ベルリンセルビッチアンドレアスベッカー 

ベルリンでクラフトやプレミアムデニムを集めた新合同展「SELVEDGE RUN(セルビッチラン)」を立ち上げた主催者のAndreas BECKER(アンドレアス・ベッカー)CEOは、ベルリンで3つのホテルを経営している実業家。米国、英国、イタリア、日本など長い歴史のある物作りの本場で、丁寧にハンドメードされた商品、ブランドをリスペクトして集めたもので、「BBB(ブレッド&バター・ベルリン)ロックエリアのスピリットをキープした展示会」というコンセプトです。ベッカーさんに話を聞きました。>>関連記事

セルビッチランの特徴は

ロックエリアは本当に良いスペースでした。手作り風、昔風のブランドが多く、そのコンセプトを維持したいと思いました。そして長い歴史があるブランドやハンドメード、ビンテージだけでなく、コンテンポラリーなものも入れていきたいと考えています。

最初はリスキーだったので、このような郊外で開きましたが、次回はミッテ地区へ移して80~100ブランドで開きたいと考えています。

ベルリンセルビッチ1 ベルリンセルビッチ2

根底にある考え方を教えてください

大きなグローバルブランドが中国やバングラデシュで作って、マーケティングして、高い値段を付けて売っていく仕組みは、どう考えても健全とは思えません。そんなトゥマッチで労働環境も悪く、早過ぎる物作りは止めないといけない。

靴の職人やテーラーのように、自分たちの食べるものしか作らない農夫のような生き方に共感します。

日本の手作業の物も素敵です。陶器、漆、テキスタイルなどクラフトのルーツがあり、文化的なヘリテージがあるものは、プロダクトを超えています。日本では70年に渡って続けている90歳の刀鍛冶の職人を訪ねました。ずっと同じ作業台でやっている。そんな凄さを尊敬しています。

ベルリンセルビッチ

では、現在の日本のブランドに欠けているものは

日本のブランドは、物も良いし、テキスタイルも良いです。ただコミュニケーションが悪い。日本人はもっと説明しなければいけません。見て触って理解してもらう以上に大切なことで、もちろん言葉の問題も大きいですが、一度で諦めてしまうことも多い。もっとアピールしていく必要がありますね。でも政府が行っているキャンペーンのようなやり方は、クールではありません。トップダウンのやり方は成功しません。政府に頼らず、地道に下から上に浸透させていくやり方こそがクールだと思います。

http://www.selvedgerun.com

温かい眼差しで、スローファッション(ファストファッションの対極)を語るベッカーさん。現代社会が抱える課題に対して真摯に取り組む彼の姿に心打たれるものがありました。近々、東京にも彼のホテル(サーカスホテル)ができるそうです。自らフロントに立ち、お客と接する点も彼なりのスローライフの表現方法なのだと感じました。セルビッチランの今後が楽しみです。