新年あけましておめでとうございます。2015年、皆さんはどんな新年を迎えましたか。
昨年は景気の腰折れ懸念が現実化し、特に格差社会と円安が内需型のアパレル・流通業に厳しい環境をもたらしました。
今年こそ国民全体が精神的にも経済的にも豊かさを実感できる年にしたいものです。そのためにも、いろいろな人たちと協力し合いながら、一歩でも二歩でもサスティナブルでエシカルな、かつセイフティーネットの確立した潤沢な中間層の存在する日本へと、社会政策や業界のムーブメントを作っていかなければと決意を新たにしています。また、そういう社会構造にできれば、必然的にクリエーションの価値も高まり、それを支える市場原理が働くことで、差別化されたインディペンデントな小売業の興隆も実現できると考えます。マーケットは勝手に動く魔物ではありません。そこには間違いなく人の手が関わっており、そのムーブメント如何で方向舵を変えることができます。
小さな一石でも、多くの人が投じれば、波紋は広がっていくもの。諦めずに素晴らしい未来を作るために、日々の仕事を大切に実行していきましょう。
もう少し詳しい内容はファッションスナップに掲載していただきましたので、こちらをお読みいただければ幸いです。→http://www.fashionsnap.com/inside/column1412-kubo/
さてファストファッション、グローバルSPAが花盛りの中、業界人やファッションを学ぶ学生に是非観てほしい一作が誕生しました。
洋服と向き合う文化をどう捉え直すのか。一石を投じる出来上がりになっています。
神戸の瀟洒な住宅街に佇む「南洋装店」は先代から受け継いだ二代目店主の南市江(中谷美紀)が切り盛りしている仕立屋です。先代の祖母は、住宅街の人たちの大切な一着を仕立てては、繕い、いつまでも長く着られる服として、長きに渡り街の人たちに愛されてきました。その偉大な祖母の店を引き継いだ孫の市江には、先代の作り続けてきた沢山のデザインを守り、繕い続けるという使命感からか、頑なでスタイルを変えないという気負いが感じられます。そんな中、市江の服が気に入った百貨店の営業マン、藤井(三浦貴大)は、ブランド化の話を持ち掛けますが、市江は断り続けます。市江の服に惚れ込み通い続ける藤井は、唯一、市江の服を販売しているブティックや長年の顧客とその孫や家族との間に横たわる、愛着のある一着を巡っての様々な思い出や逸話が交錯して、ストーリーは展開されます。たった一着のスーツが、ドレスが時には励まし、時には慰める大切なツールとなることを静かなタッチで感じさせてくれます。ストーリーはこの位にして、あとは映画館で直に感じて楽しんでください。1月31日から新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー。
本年も『Journal Cubocci』をお引き立てのほど、よろしくお願い致します。 編集長 久保雅裕
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