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愛知県が誇る繊維文化とファッションの未来を発信するイベント「AICHI TEXTILE FES. 2026」が2月14日、名古屋市内のエスパシオ ナゴヤキャッスルで開催された。東京ガールズコレクションと連動する「あいち・なごやFASHION DAYS」のサテライト企画として位置づけられ、繊維産地とデザイナー、業界関係者が交差する一日となった。

会場となったのは同施設2階、目の前に名古屋城の天守閣・金の鯱を真正面に臨む「天守の間」。愛知の繊維産業を紹介する展示販売や体験企画に加え、ファッションフロアショー、映画の予告編上映、トークセッションなど多層的なプログラムが展開され、産地の魅力を立体的に伝える構成が特徴だった。

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愛知県は古くから繊維産業が根付く地域である。三河地方では平安期に綿種が伝来し、戦国時代以降に綿作と機織りが発展、「ガチャマン時代」と呼ばれる好景気を支える基盤となった。また一宮市を中心とする尾州地域は、木曽川の豊かな水資源に恵まれ、日本最大の毛織物産地として世界的にも評価され、英ハダースフィールド、伊ビエラと並ぶ「世界三大ウール産地」とも称されてきた。

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このほか知多木綿、蒲郡藍染、岡崎草木染、名古屋黒紋付染、有松・鳴海絞、稲武絹織物など、多彩な伝統工芸が集積する。フェスは、こうした愛知の織物文化と技術を次世代へ継承し、国内外へ広く発信することを目的として開催された。

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当日のステージは、ファッションディレクターの干場義雅、永田レイナZIP-FMナビゲーターがMCを務め、LDHによるダンスワークショップショーで華やかに幕を開けた。続くプログラムの中心となったのがファッションフロアショーである。ファッション界をリードするデザイナーとして、「matohu(まとふ)」の堀畑裕之、関口真希子、「SOMARTA(ソマルタ)」の廣川玉枝が参加し、本フェスのために特別に衣装をデザインした。三河木綿と尾州毛織を素材に用いたショーは、産地素材が現代のクリエーションへと昇華される瞬間を示し、来場した業界関係者の注目を集め、デザイナーもそれぞれの素材への思いを熱く語り、創と工の互恵関係を改めて感じさせる企画となった。

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また今回は繊維産地を題材とした映像作品も紹介され、三河木綿をテーマとするドキュメンタリー映画『わたのまち、応答セヨ』、尾州を舞台にした『BISHU〜世界でいちばん優しい服〜』の予告編が上映され、産業の背景や地域の挑戦を伝える役割を果たした。

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上映後には「あいちのテキスタイル〜現在・過去・未来〜」と題したトークセッションが行われた。三河木綿編では、日本テキスタイルデザイン協会代表理事の大場麻美、森菊の大羽菜那、映画監督の岩間玄、TGCチーフプロデューサーの池田友紀子の各氏が登壇し、映画作りで一番大変だった地元の抵抗感と閉塞感やそれが転じて未来へのチャレンジに変わった点などについて議論を交わした。

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尾州毛織編では、ラグジュアリー文化研究家の中野香織、国島の伊藤核太郎社長、ファッションデザイナー信國太志、TGCチーフプロデューサーの池田友紀子の各氏が参加し、世界のハイブランドから高い評価を受ける尾州の技術力と可能性を語った。

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来賓に供された発酵マルシェからのオードブル盛り合わせ

主催した「あいち・なごやFASHION DAYS実行委員会」は2025年に設立され、愛知県、名古屋市、中日新聞社、W TOKYOなどが参画する産官連携組織で、ファッションイベントを軸に地域産業振興を進める取り組みとして、この企画を担っている。
「繊維の町・愛知から世界へ」。産地の技術とデザイナーの創造性が交差した今回のフェスは、日本の繊維産業が未来へ踏み出す確かな手応えを残した。

あいちテキスタイルフェス 2026