© Channel Four Television Corporation, The British Film Institute, Diaphana, France3 Cinéma, Untitled 13 Commissioning Ltd 2014.

© Channel Four Television Corporation, The British Film Institute, Diaphana, France3 Cinéma, Untitled 13 Commissioning Ltd 2014.

英国ロマン主義の風景画家、ターナーの絵は、誰でも一度は目にしたことがあるでしょう。やや薄暗い陰影の中に、太陽や光を取り込んだ海の情景は、印象派好きにとっても、近しい存在と言えます。しかし彼は晩年期に、抽象画の奔りとも言えるような作品も残していました。そんな彼の晩年までの半生を描いた本作。口数が少なく、言葉も不明瞭だったといわれるターナーを、その体躯も含めて、見事に演じ切ったティモシー・スポールは、2014年カンヌ映画祭で主演男優賞を受賞しました。

精神疾患だった母親のせいか、女性に対する不安定な心情は、結婚まで至らなかった人生に表れ、また労働者階級出身であったことや風貌に対するコンプレックスが、権威あるロイヤルアカデミー会員との交流の様々な場面で態度に出てしまうなど、ターナーの生い立ちから含めてリアルに表現されているようです。

そして理髪師だった父親と家政婦に支えられ、デッサン旅行と絵の制作一筋に生き抜き、晩年には、デッサン旅行に訪れたマーゲイトの港で出会った最後のパートナーとの安息の日々を活写して、あの素晴しい絵画の生まれた背景を知ることができる「有り難い作品」となっています。

6月20日より、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。

構想12年の本作を仕上げたマイク・リー監督に拍手を送ります。

http://www.cetera.co.jp/turner/

【ターナー、光に愛を求めて】サブ① 【ターナー、光に愛を求めて】サブ⑤ 【ターナー、光に愛を求めて】サブ④ 【ターナー、光に愛を求めて】サブ③ 【ターナー、光に愛を求めて】サブ②