5階カフェラウンジのペッパーパーラー

東急プラザ渋谷(東急不動産)の12月4日のプレス内覧会で、まずもって「東急プラザ渋谷、やるな~」というのが最初の感想だった。この間、スクランブルスクエア、パルコと軒並み商業施設がオープンしている渋谷で、やはり異彩を放ったのがこの館だ。もちろんパルコもファッション・ポップカルチャーに焦点を当て、業界関係者からは、すこぶる評判が良いのだが、東急プラザは、シニアを明確なターゲットとして打ち出し、彼らのニーズを満たすことを重点に据えたリーシングが潔く感じられたからだ。

もう一つ秀逸な点は、「個別相談」「カウンセリング」「アドバイス」「カスタマイズ」「体験」といった実店舗でしか受けられないハイレベルな接客を重点に置いた品揃え、店揃えだという事だ。もちろんECでも上記のようなキーワードは、取り入れられているものの、対面で顔を見ながら、話を聞けて、試すこともできるという点では実店舗に勝るものはない。

所謂、「アクティブシニア」と呼ばれる人たちは、まだまだ元気でそれなりの価値にはそれなりの対価を払う余裕も持っている。ECやテレビ通販で購入することもあるが、やはり対面で、マンツーマンで聞きながら、時には悩みも話しながら、結果として購買に至るというプロセスに満足度が高いのではないか。

そんな事をしみじみと感じたのが、4階フロアだ。

補聴器の「東京ヒアリングケアセンター」は青山と大井町に店を構える。難聴の悩みに丁寧に答え、バリアフリーの検査室も設えた。ある種の医療機器のようなものだから、使い始めて以降のアフターケア・微調整は欠かせない。値段も張るが、精緻な商品と技術力によって、一人一人に対応することが、シニアの高い欲求を満たしてくれることだろう。

漢方の「ニホンドウ漢方ブティック(NIHONDO KAMPO BOUTIQUE)」は、30分~1時間程度のカウンセリングを行い、その人に適した漢方薬を調剤してくれる。各レベルの血流量を測定できる血圧計があり、そのチャートに基づいて体質の傾向を教えてくれた。

アイケアとコスメの「ロートQualityAgingサロン」は、ロート製薬初のアンテナショップだ。膨大な種類の目薬から一番適したものをアドバイスしてくれるほか、アイマッサージも受けられる。また同社の売上げの大半を占める化粧品のコーナーも併設していた。

5階へ上がると何と言っても終活ライフサポートの「ライフストーリーズサロン(LIFE STORIES SALON)」が目を引く。「海洋散骨」「宇宙葬」「樹木葬」から「生前葬」、そして遺産相続の相談まで幅広いカウンセリングが受けられる。

そしてソフトバンクロボティクスの「ペッパー君」が迎えてくれるカフェラウンジの「ペッパーパーラー(Pepper PARLOR)」が中央に位置する。ビームス創造研究所とコラボして開発した松本セイジのイラストTシャツなど関連グッズを販売するコーナーも併設している。

さらに洋服・バッグのお直し、オーダー・リメイクの「アトリエ・クチュリエ―ル」は、思い出の品を捨てられないシニアのために、服やバッグを再生させるサステイナブルな取り組みを支援する。洋服は同店内で作業し、バッグは外部の職人が手掛けるそうだ。

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笑顔で迎えてくれた設楽洋ビームス社長

ではファッション関連のテナントを見ていこう。 

その前に2階入口近くに設置されたのが「GMOデジタル・ハチ公square」。デジタル・ハチ公と一緒に世界旅行に出かけられるという仕掛けで、新たな渋谷の待ち合わせスポットとして打ち出した。椅子の上のスマホマークに置くことでスマホ充電も可能だ。

さてさて2階の「ビームスジャパン(BEAMS JAPAN)」は『encoremode』に詳細を掲載しているので、笑顔の設楽洋社長の写真と「井村屋・あずきバー」とのコラボ「ゴールドあずき」、そして個人的に購買意欲をそそられた「男はつらいよ」鼻緒スニーカーだけ掲載して、割愛。

隣はサザビーリーグの食品・雑貨・和食カジュアルダイニングの「アコメヤ・トウキョウ(AKOMEYA TOKYO)」。

カラダにやさしいアコメヤ・トウキョウのランチ

3階には館主導のポップアップスペース「イチイチイチ(111-ICHIICHIICHI)」が4つのコーナーを展開する。オープン時は4ヶ所すべてを使ってパッチワークスが「ケイタマルヤマ」の「丸山邸」を再現している。「和のコト」「服のコト」「うつわのコト」「家のコト」をテーマに12月16日まで開催している。

アンティークの陶器やロイズ・アンティークスとのコラボ家具も

ファッション須賀の生活雑貨業態「マディ(Madu)~オンザテーブル(on the table)」

サザビーリーグのファーイーストカンパニーが展開する「エッセンス・オブ・アナイ・ルミエア(essence of ANAYI LUMIEA)」

ジュンは、着物の直線裁ちからインスパイアされたブランド「ロペ・ラ・リンニュ(ROPE LA LIGNE)」の1号店を出店した。

そして東急百貨店による編集売り場「カズラ(KAZURA)」には、婦人服の「シビラ(Sybilla)」「セオリーリュクス(Theory luxe)」「レリアン(Leilian)」がコーナーで出店していた。

ランチにお勧めは、6階「らぁ麺・ドゥエ・イタリアン」。市ヶ谷に本店を構えるテレビでもお馴染みのミシュラン掲載店のラーメンが渋谷で味わえる。ふんわりとしたチーズと生ハムの載った濃厚なのにさっぱり味の「らぁ麺生ハムフロマージュ―リゾット用美人玄米ご飯付き―」(1280円・税込)が一番人気だ。

そしてシンガポールの「マリーナ・ベイ・サンズ」にある「セラヴィ(CE LA VI)」が17~18階にルーフトップレストラン、クラブラウンジ、カフェ&バーをオープンした。クラブはちょい若者向けだが、レストランはオールエイジでごった返しそうな予感。

屋上テラス「シブニワ(SHIBU NIWA)」を含む17~18階だけ異世界な感じだが、総じて館の役割が明確で、アクティブシニアとインバウンドが交わる渋谷のひとつの顔になりそうだ。コンパクトさも好印象を与えてくれ、巨大な渋谷スクランブルスクエアの3社(JR東日本、東京メトロ、東急電鉄)呉越同舟的なリーシングと比較して「分かりやすさ」=「潔さ」に繋がっていると感じた。