オートフィッツ正面

吉祥寺駅の南口、井の頭公園手前の住宅街の一角に「オートフィッツ」というコンフォートシューズ専門店があります。ビルケンシュトックの子供靴を日本一売る店として知られていた時期もあり、コンフォートシューズの店としては知る人ぞ知る店です。バイイングを担当しているチーフマネージャーの中村奈穂子さん曰く「メーカーがコンフォートを標榜していなくても、見ただけでコンフォタブルかどうか分かる」そうです。
御眼鏡に適わないのは、「アタリの部分に革やクッションを使っていない」「ノーズが足りない」「底材が固い」「コストダウンのためプラスチックを使用して、結果コンフォートでは無くなっている」などなど。
逆に「内張りの革の下にテンピュールを入れ込んでいるから、吊り込みは手作業しか出来ない」などといったメーカー側のこだわりに共感するそうです。
現在の品揃えは、日本ブランドの「フィルフルトゥ」を除いて、全てが欧州ブランドで、元々ドイツの整形外科技術と靴加工技術を組み合わせたオーソペディー・テクニックに基づいたカウンセリング販売が主体なため、「フィンコンフォート」などの有力コンフォートシューズブランドが主力となります。
しかし、一般的なコンフォートシューズの店は、ファッション性度外視の店が多い中で、同店はGDSを中心に自社買付もしつつ、ファッションとコンフォートの融合を目指した品揃えに腐心しています。「ジュリアン ヘイクス」の「モヒート」を一店舗で20足も買い付けている度胸にも驚かされます。
さて、これらコンフォートシューズの業界でファッション化への流れが強まったのが、2005年頃。
前述の「フィンコンフォート」がデザインを意識し始め、様々なブランドのトレンドを模倣し始めたそうです。
ファッション性とコンフォートを両立させた靴をどう見分けるかは、履き心地の良さがラインに表れている靴のフェイスで分かるそうです。
また昨年、3.11を絡めて若い男女(女性は靴屋の販売員の設定)の恋愛模様を描いた東京国際映画祭参加作品『あれから』に店舗をロケ場所として提供したり、中村さんがトークショーに呼ばれたりとカルチャー面での取り組みも進めており、小さな靴屋の枠を超えた活動にも広がりを見せています。

http://www.o-fits.com