(C)WY productions - SND - Cinefrance 1888 - Herodiade - Umedia

(C)WY productions – SND – Cinefrance 1888 – Herodiade – Umedia

ファッションデザイナー、イヴ・サンローランの伝記的フィクションでありながら、パートナーのピエール・ベルジェとイヴ・サンローラン財団が初めて公認した作品というところが、この映画の肝でしょう。「モンドリアン・ルック」「サファリ・スーツ」などファッションの歴史を塗り替えた業績がどのように生まれたのかといったモード視点の観方も業界人にとっては興味深いところですが、このドラマの根底にあるテーマは人間サンローランの苦悩。そして、その底辺に横たわっているキーワードは「ピエノワ(北アフリカ出身のフランス人の意)」「同性愛者」「70年代のヒッピームーブメントと退廃傾向」の3つ。どれだけ讃えられようが、創作意欲と精神的な不安定感の揺らぎの狭間でこの3つのキーワードが彼の心の奥底に影響を与え続けているように思えます。そして何と言ってもパートナーのベルジェの愛情には心を打たれます。ベルジェ無くしてブランド「イヴ・サンローラン」は存在しなかったでしょうし、またベルジェやそれ以外にもサンローランを取り巻く人々の葛藤と苦悩が見事に表現され、愛すべき登場人物たちのキャラクターが鮮明に描かれています。今年1月、フランスで公開されるや初登場で1位を記録。財団所有のアーカイブ衣装が貸し出され、その本物の衣装に彩られた映像とサンローランを演じたピエール・ニネの瓜二つな雰囲気で、一気に引き込まれるリアルさを兼ね備えたと言えます。

9月6日より角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネマライズほか全国ロードショー予定。

http://ysl-movie.jp

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