ミモザメイン

フランス東部のアルプス山中に佇むグランド・シャルトルーズ修道院は、もっとも戒律の厳しいとされるカルトジオ修道会の男子修道院。1986年にドイツ人監督のフィリップ・グレーニングは撮影許可を求めましたが、「まだ早い」と断られました。その16年後、「準備が整った」と突然連絡が入り、この映画の製作がスタートします。

照明なし、音楽なし、入れるのは監督のみで、撮影は監督自身のカメラのみ。これが修道院側の条件でした。そして6ヶ月間に及ぶ撮影と修道士との暮らしが始まりました。

スタジオ撮影禁止、照明なし、音もその場で採り、脚本が「晴れ」でも、ロケ場所が「雨」だったら、そのまま自然に撮る、効果音や後付の音楽も禁止というデンマークで生まれた映画撮影スタイル「ドグマ95」がありますが、それを上回る圧倒的にリアルで、ドラマではない修道士たちの日常が映し出される3時間近いこの作品は、まさに忙しい日常を離れ、まるで浮世のような静寂と人間の本源的な世界にどっぷりと浸かれる時間を楽しめます。頭の中を空っぽにして、自身が修道士になった気分で過ごすことをお勧めします。

聞こえてくるのは、鳥の鳴き声、雨音や風の声など自然が届けてくれるサウンドと修道士が動くことによってもたらされる衣擦れの音、床やドアの軋み音、そして石造りの部屋にこだまする聖歌と鐘の音。日曜日の午後にだけ許される会話の時には、修道士たちの俗人的な姿を垣間見ることができ、ほっとさせるシーンもあり、また自給自足のための畑仕事に精を出す老修道士の姿にミレーの『種をまく人』が重なります。

来訪者も旅行者も立ち入りが許されない世界を覗き見する3時間のインナートリップで、下界のせわしい日々から一時的に解き放たれることができるかもしれません。

7月12日から岩波ホールほか全国順次ロードショー。

http://www.ooinaru-chinmoku.jp

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