ジーンズの聖地として知られる岡山県倉敷市の児島地区。かつて児島で最も栄えた味野商店街はシャッター通りへと変わっていました。この商店街の空き店舗に地元の特産品であるジーンズの店舗を誘致し、「児島ジーンズストリート」と名付けて再興を計ろうと発案。商工会議所やジーンズメーカーなどが2009年、「児島ジーンズストリート推進協議会(眞鍋寿男会長)」を結成し、誘致活動をスタートさせました。4年経って、果たして賑わいは取り戻せたのか。ジーンズストリートの今をレポートします。
岡山県倉敷市の南部に位置する児島地区は、明治時代から「繊維の町」として知られており、帆布など丈夫な生地の織物業が発展し、1960年代から国内で最初にジーンズ生産を始めた地域でした。しかし近年、安価な海外製品との競争にさらされ、販売数量の減少や老舗ジーンズメーカーの破たんなど厳しさを増しています。
またジーンズの聖地と訪れるファンも数多くいましたが、実際に来てみると地元のジーンズを売っている店もなく、がっかりされるという状況もありました。
そんな中で2009年に立ち上がった推進協議会は、10年夏までに最低10店舗の誘致を目標に取り組み、実現。地元の観光名所でもある塩田王と言われた旧野﨑家住宅前から味野第2公園までの400メートル程の商店街です。
スタート時の10年は店舗数10軒、来街者数7~8000人、購買率は50%とやはりジーンズ目当ての比率が高かったようです。それが13年には店舗数30軒、来街者数約5万人となり、購買率は30%に低下。ジーンズだけを目指してくる客だけではなく、広く観光名所としての位置づけになってきたと見ています。また年に2回開かれるイベントには約30万人が訪れ、雑誌の『ライトニング』とタイアップした「稲妻デニムフェス」は今年4月、3回目の開催を迎えました。
しかし、平日には開店していないショップも見受けられ、シャッター通りのイメージを覆すには至っていません。また、飲食やジーンズ以外でも楽しめるスペースが少ないなど課題は山積しています。
「これからは既存のジーンズメーカーだけでなく、ジーンズ資材や加工の店なども誘致し、来街者がいくつもの店を回って1本のジーンズを仕上げるなど『コト』の面白さの提供も必要と考えています。同時に若手の育成にも力を入れており、岡山市にある中国デザイン専門学校のデニムジーンズコースへの講義や実習の支援、行政からの店舗改装費への補助金支給などを活用して更なる誘致へと結び付けていきたい」(眞鍋会長)としています。
町興しのチャレンジは、息の長い闘い。今、始まったばかりなのかもしれません。
<ジャパンブルー>
テーパード、タイトストレート、スキニーの3シルエットに9分丈とアンクルカットなどバリエーション豊富な品揃え。売れ筋はメンフィスとジンバブエコットンのワンウォッシュ12800円(税別)と16.5オンスのスキニー14800円(いずれもテーパード)
<桃太郎ジーンズ>
ノンウォッシュとワンウォッシュの生地バリエーションは10種類あり、主力の価格は22000円。ジーンズ以外にもシャツやブルゾンなどカジュアルアイテムを揃える。
<SAIO(サイオー)>
40種類のデザインパンツを揃えるボトム専業メーカーの直営店。価格は8900~12000円で固いデニムを嫌う年配の購買客も多いという。そんな客に人気なのが、グレー、ベージュ、インディゴの3色展開のソフトなニットデニム「カフィカ」13000円。
<KOJIMA GENES(コジマジーンズ)>
ヘビーオンスデニムが特徴の店で18オンスが14000円、29オンス19000円。ほかに表と裏面を素材違いで切り替えたデザインパンツも人気8500円。
ジーンズ発祥の地をアピールするジーンズ幟が旗めくJR児島駅前(左)、ゆるキャラ「Gパンだ」も一役買っている(右)
随所に幟や横断幕、子供たちによるウオールアートなどでジーンズストリートをアピールするが、平日は閉店している店も多い
ストリートのそばにある旧野崎邸は観光スポット
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