幸福

著者は多くのマーケッターから尊敬され、数々の著作やコンサルティング実績からよく知られている人物で、ライフデザインという概念で仕事に取り組まれています。

さて4月に発刊となった本作は、「幸福」というテーマに地球的規模での俯瞰した視点と本人のジェネレーションとしてのシニア世代の生き方、世界と分かち合う「富と未来」といった観点からのアプローチで近未来の在り方を表すことに重点を置いた試みのようです。

特に日本においては2020年のオリンピック・パラリンピック開催に向けて、ハコモノによる経済効果ではない世界との共生関係の構築を目指したアプローチで未来へとつなげていくスタンスも最終章で提案しています。

「他者貢献」から感じる幸せと、そこから派生するシェアする社会観に重点を置いた論考は、紛れもなく中間層にはフィットすると思われます。しかし「社会のせい」にすることによる逃避行動もあれば、真に「社会のせい」に、すなわち不条理に立ち向かっていくことから目を逸らせてしまう危惧も感じざるを得ません。

幸福の風景は、自分の中にあり、社会的存在の中にあると感じた1冊でした。

ライフデザインブックス新書、700円(税別)

http://www.jlds.co.jp/book/2014/04/post-12.html#.U57eTvl_t8E