OC雨宮1

ジェンダーレス。最近のファッション業界のトレンドであり、広く一般的に使われるようになったこの言葉からは、ファッションの新たな可能性を感じることが出来る。枠にはめられることを嫌い、性的指向の見方が全体的に問い直され、男女の境目がどんどん曖昧になっている現代において、性別にこだわらないファッションは時代の流れをしっかり反映しているとも言える。ただ、ジェンダーレスという言葉は女性に当てはめて考えられることが一般的で、広く男性に受け入れられることは少ないのではないだろうか。

今回、ジェンダーレスをテーマに「GVGV」とオープニングセレモニーがパートナーシップを組み第3弾となるメンズコレクションを発売した。その記念として、2017年12月22日にオープニングセレモニー表参道店でイベントが開かれた。

写真家のロバートメイプルソープが撮影したモノクロの写真のパティスミスからインスピレーションを受けたものがコレクションのテーマになっており、アメリカの伝説的女性シンガーである彼女が着た男性の服を男性が着るかのような女性に置き換えたトランスジェンダーのコレクションになっている。

マネキンが着ているコートは、メンズらしい洋服を好んで着るといったパティスミスのイメージそのものであろう。パティスミスを知らないという人は、このマネキンをイメージしてもらうと良いかもしれない。

OC雨宮2

デニムのパンツはSサイズがレディス、M、Lサイズがメンズの展開になっている。あえて短く裾が広がっているブーツカットのようなデザインで、メンズのようにダボっと着る形ではなく、ぴったり、スッキリと着る女性らしいシルエットになっている。

OC雨宮3

色合いも女性らしい色合いのものが多く、普通の男性の洋服では考えられないパール使いやレース調のものも、あえて男性が着るようにアレンジされたユニセックスな仕上がりになっている。

OC雨宮4 OC雨宮5

パーカーやTシャツに書かれている「Dream」が今回のキーワードでもあり、「patti」と書かれたTシャツにニットを重ねて着るとpattiのロゴが見えるように計算された作りになっている。

OC雨宮8OC雨宮7OC雨宮6 

同イベントでは、水原佑果らによるDJやクリスマスの時期ということもありチキンなど本格的な料理が振舞われた。また4階ではバッグやヘッドホン、高額なアウターも当たる抽選会が行われた。まるで、学園祭のような楽しい雰囲気の中、ジェンダーレスな商品が並び、男女問わず様々な人達がイベントを楽しんでいる。お店全体で、今回のコラボを盛り上げる。そんな雰囲気が伝わってきた。

昨今アパレル業界は不振と言われているが、それを感じさせないムードが今回のイベントにはあった。レディス市場が大部分を占めるファッション業界において、性別にこだわらないジェンダーレスファッションは、デザイナーが男性用と女性用の服を合わせて考えることで、時間とお金に関する問題を解決出来るだけでなく、今回のイベントのように男女の垣根を越え様々な可能性を生むことが出来るのではないだろうか。ファッションを楽しむのに性別は関係ない。そう思わせてくれるイベントだった。  (写真と文・雨宮正芳)